親子のコミュニケーション不足に悩んだときは-『親業』に学ぶ、子供の話の聞き方とは

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みなさんはお子さんと適切なコミュニケーションをとれていますか?
このページを参照されている方は「ちょっと自信がない」「自信がない」といった方が多いのではないでしょうか。

かくいう私も2児の母として、日々子供たちにどう接すればよいのか模索しています。
私の場合は読書で知識を得ることが多く、子育て関係の本を、年間約20冊読んでいます。

今回は私が今までに読んだ本の中から、親子のコミュニケーションに特化した
『親業』
という本をご紹介します。

子供とコミュニケーションをとれるか自信がなかった

私が子供だったころ

子供を生んでから、ふと「この先ずっと子供と本音を話せる関係でいられるだろうか」と漠然とした不安がありました。

というのも、私自身が両親に何かを相談したり、悩みを打ち明けたり、という経験が非常に少なかったからです。

小学生の頃には、母から学校の様子や交友関係を聞かれると
「べつに」
と、どこかの女優さんのような返答で会話を終わらせていました。

今振り返ると、両親(特に母)には悪いことをしたなと思っています。

とはいえ、子供の頃の私が両親とあまり突っ込んだ話をしたくなかったことは事実です。
だから、冒頭の「自分自身は子供と本音を話せる関係を維持できだろうか」という不安を抱えずにはいませんでした。

会社の先輩が読んでいた本を思い出す

そんな時に思い出したのが、会社の先輩が読んでいた『親業』という本です。

『親業』自体の説明は以降の章に譲るとして、この会社の先輩は、職場ではいわゆる「コミュニケーション上手な人」でした。
お喋りというわけではないのですが、不思議と誰とでも会話が続く、人当たりのよいタイプです。
そんな先輩に子供が生まれた時、先輩が『親業』を「いい本だよ」と教えてくれたことを思い出しました。

職場のコミュニケーションが上手な先輩がすすめるので、親子関係に役に立つ本なんだろうなと思って購入しました。

『親業』の概要-親業と親業訓練法(PET)

『親業』の概要

著者は臨床心理学者のトマス・ゴードン博士。
日本で初めて出版されたのは1977年と、かなり古い本です。

親としての役割を「親業」と定義し、子供が育つうえで親がどのようにかかわるのか、本では「聞く」「話す」「親子の対立を解決する」の3点について、そのありかたが示されています。
全体として、子供を一個人として尊重し、子供の話を正確に理解し、でも親の思うところは主張し、お互いの意見が食い違う時は対話によって解決を見出す、という内容になっています。

親業訓練法(PET)

トマス・ゴードン博士は、この親のかかわり方を「親業訓練法(PET)」というコミュニケーションプログラムとして開発しました。PETとは「Parent Effectiveness Training(親としての役割を効果的に果たすための訓練)」という意味です。
本書は、この親業訓練で使われるテキストになります。

『親業』

親業訓練は、日本にも親業訓練協会が設立されており「親業訓練講座」として受講することができるようです。
日本の親業訓練協会は今年(2020年)で、なんと設立40周年とのこと。

親業訓練講座は、全8回、合計24時間のプログラムです。
なので、テキストである『親業』も文章量が多くかなり読み応えのある本です。
講習のテキストという側面があるからか、繰り返しが多く冗長に感じられる部分がありますが、そこは飛ばしながら読んでも大丈夫だと個人的には思います。

「能動的」に「聞く」ことの重要性

子供を真に受け入れているか

『親業』の中では「聞く」「話す」「親子の対立を解決する」の3つのコミュニケーションについて触れられていますが、私が一番大事だと感じるのは「聞くこと」です。
まずは相手の言っていることを正確に理解しないと、そのあとの「話す」や「親子の対立を解決する」に繋がらないからです。

ところで、みなさんは子供の話を聞いた後に以下のような反応をしているでしょうか。

  • 命令、支持
  • 注意、脅迫
  • 訓戒、説教
  • 忠告、解決策を提示
  • 講義、論理の展開
  • 批判、非難
  • 称賛、同意
  • 悪口を言う、馬鹿にする、辱める
  • 分析、診断
  • 激励、同情
  • 質問、尋問
  • 中止、注意を他にそらす

これらの12の反応のどれかに当てはまるのであれば、それは普通のことです。
でも、『親業』ではこれらの反応はどれも間違っているとしています。

理由は、子供の状況を受け入れる前に自分の考えを提示してしまっているから。

ゴードン博士は、子供の話を聞くときは、まずはその話の意図するところを正確に理解し、受け入れることだけに注力せよと強調しています。
これが『親業』で推奨されている「能動的な聞き方」です。

「能動的な聞き方」の方法

能動的に子供の話を聞くためには、大きく3つのステップがあります。

  1. 子供の話を聞き、話の意味、意図を理解する
  2. 自分の理解が正しいか、子供にフィードバックする
  3. 1,2を繰り返して、子供が真に言いたいことを理解する

2番目のステップが能動的な聞き方の肝であり、前節の12の反応とは異なる部分です。

よく考るとこの方法、仕事では実行していませんか?
例えば上司から仕事の指示を受けた時。
自分の理解が正しいか確認してから、実際に着手するのではないでしょうか。

「能動的な聞き方」で得られるもの

この能動的な聞き方で得られるものを本書から引用します。

能動的な聞き方のフィードバックの部分は、親のほうで、自分の聞いたことの正確さを最終的に確認することである。もちろん送り手(子供)としても、自分のメッセージが正確に送り返されてくると(フィードバックされると)、自分が理解されたことを確認できる。

『親業』3章「親になんてはなせない」か-心の扉を開くことば、より引用

つまり、子供の意図を正確に理解することができると共に、子供へ受容感を与えることができるのです。

フィードバックを明示的に言葉にすることで、相手に話をしっかり聞いていると伝えることができます。
自分の話をしっかり聞いてもらえるとわかると、受け止めてもらえている感じがしますよね。

実際に試したら、兄妹喧嘩が早く解決した

この能動的な聞き方、我が家でも役立っています。

例えば、よく娘が兄の人形を欲しがって言い争いになるのですが、そんな時に、

「ボクの人形だから、妹ちゃんには貸さない!」
「そうだね。お兄ちゃんの人形だね。妹には貸したくないんだね。

と子供の話を受け止めるメッセージを発すると、

「代わりに、こっちの人形を貸してあげる!」
とか、
「交代で使おう!」

と、自ら解決策を提案してくれることがあるんです。

我が家の場合は、兄妹喧嘩の3回に1回くらいは話を聞くだけで解決してしまう印象です。
もちろん毎回はうまくいくわけではないので、その場合は、『親業』の残りの部分、「話す」「親子の対立を解決する」方法で、できるだけ解決するようにしています。

最後に

今回は、親子間のコミュニケーションの一助として、『親業』をご紹介しました。
なかでも「親業」とはなにか、「能動的な聞き方」にスポットを当てて説明しています。

『親業』では、他に「話す」「親子の対立を解決する」方法についても語られています。
こちらは、もしよければ、実際の本を手に取って読んでみてくださいね。



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