ミシンがなくても、手縫いで服はつくれます。
では、ミシンで作る洋裁本に載っている服は、手縫いでつくることができるのでしょうか?
答えは、Yes!
ミシンで作ることを前提とした服でも、手縫いで作ることができます。
かくいう私も、ミシンで縫い前提の洋裁本をみながら、手縫いでの洋服づくりを楽しんでいます♪
ただ、ミシン縫いで作る服をそのまま手縫いで作ることは、残念ながらできません。
布端の処理がミシンと手縫いでは異なることが理由です。
今回は、ミシン縫いの洋裁本を手縫いで作るときに必要になる、布端の縫い方の選択について、私がいつも行っている方法をご紹介します。
基本的な考え方から、どのような時にどの縫い方にするのか?
参考になりましたら幸いです。
ミシンでの布端の処理
ミシン縫いの洋裁本で登場する端の処理は、
- 縁かがり(ロックミシン)
- ジグザグ縫い
この2つです。
手縫いでの処理方法の前に、簡単に上記の縫い方を説明します。
縁かがり(ロックミシン)
既製服の裏を見てみてください。
上の写真のように、布の端が糸でクルクルッと縫われている部分はありませんか?
これは「縁かがり」といいます。
縁かがりの役割は、布端から糸がほつれないようにすること。
家庭用のミシンではなく、ロックミシンという専用のミシンで処理しています。
ジグザグミシン
また、ミシン縫いの洋裁の本では「ジグザグミシン」という言葉がでてくるかもしれません。
ジグザグミシンも役割は、糸のほつれを防ぐことにあります。
ロックミシンは専用のミシンが必要ですが、ジグザグミシンは家庭用ミシンで縫えるので、ロックミシンを持っていない場合はジグザグミシンで端の処理をおこないます。
では、手縫いは?
ミシンでの布端の処理は、縁かがり、ジグザグミシンがあることをご説明しました。
ただ、これらの縫い方、残念ながら手縫いすることはできません。
では、手縫いでは布端の処理をどのようにおこなうのでしょうか?
次章からは手縫いでの布端の処理について解説していきます。
手縫での布端の処理
手縫いでも、布端がほつれないようにするために何らかの処理が必要です。
ロックミシン、ジグザグミシンに代わるものですね。
手縫いの場合は、以下のような方法があります。
- 折伏せ縫い
- 袋縫い
- 開いて縫う
- ブランケットステッチ
- 巻きかがり
- バイアステープ
これらの方法を、縫い代の場所や目的によって使いわけていきます。
手縫での布端の処理の決め方
手縫いで、どの布端の処理を選ぶかは基本と次点、縫う場所、ステッチの数で考えると決めやすいです。
まず基本と次点について。
基本となる布端の処理の仕方は、
- 折伏せ縫い
- 袋縫い
- 割伏せ縫い
次点が
- ブランケットステッチ
- 巻きかがり
です。
バイアステープはミシン縫いの場合と同じ部分で使える方法なので、ここでは省略しています。
基本となる縫い方は、全て布端が表に出てこない縫い方です。
布端を内側へ織り込むようにして縫うので、布端が表に出てこずほつれにくくなる、という処理方法です。
次点であげた縫い方は、布端が表側にでる縫い方です。
ロックミシンやジグザグミシンの手縫い版、というと想像しやすいのではないでしょうか。
手縫いの場合は、どうしてもミシンよりも目が粗くなってしまうため、ほつれやすくなる=洗濯に弱くなる、ということで次点としています。
どの処理を使うか
それぞれの縫い方について、詳細を見ていきましょう。
折伏せ縫い
非常に強い縫い方で、パンツの股や脇などで使っています。
また、折伏せ縫いは表側にもステッチ(縫い目)が1本見える縫い方なので、ステッチをデザインとして生かすこともできます。
折伏せ縫いの縫い方は過去にご紹介しているのでこちらを参照してくださいね。
袋縫い
トップスを縫うときによく使うのが袋縫いです。
表にステッチがでない縫い方なので、ステッチを見せたくないときに使います。
布が引っ張られる面に対して縫い目は1本なので、縫い目が2本ある折伏せ縫いよりも強度は少しさがります。
ただ、布端は生地の裏に隠れるので洗濯には強いです。
パンツの脇や股に使う場合は、ゆったりしたデザインのものが良いと思います。
割伏せ縫い
途中からスリットが入る場合は、この縫い方を選択します。
表側にステッチが2本はいるので、こちらもデザインとして使いたい場合はアリです。
ただ、パンツの脇、股など力がかかる部分の縫製には向いていません。
理由は、力がかかると布の境界の縫い目に隙間ができてしまい、そこから中がみえてしまうからです。
生地に負荷がかかる部分は、折伏せ縫い、袋縫いなどを選びましょう。
ブランケットステッチ/巻きかがり
写真上がブランケットステッチ、下が巻きかがりです。
縫うスピードは、ひと目ひと目縫っていくブランケットステッチより、複数目いっぺんに縫うことができる巻きかがりの方が、手早く縫うことができます。
一方で、洗濯の強度はブランケットステッチの方が上です。
写真はブランケットステッチと巻きかがりを施した布を3回洗濯したあとの生地です。
生地は晒を使いました。
巻きかがりの方は、中央少し右の布端がほつれているのがわかるでしょうか。
縫い方が決まったら
縫い代を必要なぶんとりましょう。
例えば、折伏せ縫い、袋縫い、割伏せ縫いは、縫い代が1.5cmあると縫いやすいです。
ミシン縫いの洋裁本だと、縫い代は一般的に1cmであることが多いので、その場合は縫い代を足して裁断します。
縫い代なしの型紙に、手縫いで必要な縫い代を書き込むと、裁断のときに間違えにくいですよ。
ミシン縫いの服を手縫いするときの注意点
端の処理とは別に、ミシン縫いの服を手縫いで縫うときに注意したいことがあります。
それは、布の厚み。
手縫は、ミシンのような力はでないので、どうしても厚い布は縫いにくくなります。
手縫に適した生地については過去の投稿でとりあげているので、気になる方は下のリンクから飛んでみてください。
また、ミシン縫いの服を手縫いで縫うときだけに限りませんが、初心者さんの場合はパターン(型紙)の数が少なく、カーブが少ない&緩やかなデザインのものを選ぶと作りやすいですよ。
最後に
今回はミシン縫いの服を手縫いで縫いたいときに、布端をどのように処理すればよいのかご紹介しました。
手縫いでの端の処理はバリエーションが多いですが、基本的には袋縫い、折伏せ縫い、割伏せ縫いのどれかで考えていけば良いと思います。
私自身は、手縫いの服作りを始めて6年目。
まだまだ勉強中なので、この記事は今後成長させていければなと思っています。
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